妊娠

妊娠初期(第1三半期)ガイド

妊娠初期12週間の体と心がどう変わるかを完全解説。必要な医療検査から実践的なアドバイス、そして不安への対策まで。医学的ガイド。

監修: Whispie 編集チーム エビデンスに基づく育児リサーチ

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この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。

出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本産科婦人科学会をご確認ください。

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妊娠初期とは

妊娠検査薬が陽性になるころ ── たいてい妊娠4〜5週 ── には、すでに初期の四分の一が過ぎています。妊娠週数は最終月経の初日から数えるのが臨床上の決まりですから、1週目は受精より前に始まります。妊娠初期はその日から13週の終わりまで。受精が可能になる排卵は、ふつうの周期なら14日目ごろに起こります。

生物学的に、妊娠のどの時期よりも密度の高い期間です。心臓、脳、脊椎、手足、腎臓、消化管 ── 主要な器官系はすべてこの13週間に形づくられます。この器官形成は10週までにおおむね終わります。そこから先は胎芽ではなく胎児と呼ばれ、11〜13週にはこれから生まれてくる赤ちゃんの姿に近づきます。妊娠初期の終わりには、身長およそ7〜8センチ、体重は23グラムほどです。

同時に、症状がもっとも強く、流産の統計的な危険がもっとも高い時期でもあります。体のなかで何が起きているのか ── そして何が自分の手のうちにあり、何がそうでないのか ── を知っておくことが、この数週間にできるいちばん役に立つことです。

週ごとの発達

妊娠初期の変化の速さは並外れています。子宮のなかで何が起きているかを、週を追って見ていきます。

よくある症状と、その理由

妊娠初期の症状は、ヒト絨毛性ゴナドトロピンとプロゲステロンの急な上昇によるものがほとんどです。多くは6〜10週に頂点を迎え、中期に入って胎盤がホルモン産生を担うようになると軽くなります。

妊娠初期の食事

妊娠初期に必要なエネルギーはほとんど増えません。付加量は1日あたり約50キロカロリーで、中期は250、後期は450です。大切なのはその中身と、鍵になる微量栄養素が足りていることです。

葉酸

妊娠初期でもっとも重要な栄養素です。厚生労働省は、妊娠を計画している段階から妊娠3か月までのあいだ、通常の食事に加えて1日400マイクログラムの葉酸をサプリメントなどからとることをすすめています。神経管は受精から28日目までに閉じます。多くの人が妊娠に気づく前です。だからこそ、妊娠するからの摂取が欠かせません。過去に神経管閉鎖障害のある妊娠を経験した人には、より高用量が処方されます。

循環血液量は約50%増えます。妊娠初期の鉄の付加量は1日2.5ミリグラム、中期以降は9.5ミリグラムです。鉄はビタミンCと一緒だとよく吸収され、カルシウム、コーヒー、緑茶と同時だと吸収が落ちます。飲む時間をずらしてください。鉄欠乏性貧血は世界的に妊娠中もっとも多い栄養の不足で、初回の血液検査で見つかります。

ビタミンDとカルシウム

日本人の食事摂取基準では、妊婦のビタミンDの目安量は1日8.5マイクログラムです。カルシウムは1日650ミリグラムを目安に、乳製品、小魚、豆腐や納豆、青菜からとるのがよく、鉄とは時間をずらしてください。互いに吸収を邪魔します。

魚と水銀 ── 日本で特に大切な点

魚は良質なたんぱく質とドコサヘキサエン酸の供給源で、胎児の脳と網膜の発達に欠かせません。一方で、大型の魚には水銀が蓄積します。厚生労働省は妊婦向けに具体的な目安を示しています。キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは週に1回・約80グラムまで。キダイ、マカジキ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、クロムツなどは週に2回・約160グラムまで。一方、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、ツナ缶などは水銀の心配がほとんどなく、通常どおり食べられます。

避けたいもの

加熱の足りない動物性食品は、リステリアやトキソプラズマの危険があります。生肉やレアの肉、生ハムやサラミなどの非加熱食肉製品、加熱していないナチュラルチーズ、スモークサーモン、生卵、そして刺身や寿司の生魚も、この時期は控えるか鮮度と扱いに十分注意してください。野菜や果物はよく洗い、トキソプラズマの抗体がない場合は猫の排泄物の処理を避け、土いじりには手袋を使ってください。高用量のレチノールを含むサプリメント(ビタミンAの過剰摂取)は催奇形性があるため避けます。カフェインは1日200ミリグラム、コーヒー2杯程度までに。アルコールは安全な量が定められておらず、妊娠のどの時期でも避けてください。

妊娠初期の運動

経過に問題がなければ、妊娠初期に体を動かすことは安全なだけでなく、すすめられます。目安は週150分の中程度の運動を、なるべく多くの日に分けて行うこと。これは一般の成人と同じ推奨です。

定期的な運動は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、体重の増えすぎ、妊娠高血圧腎症、帝王切開の危険を下げることと結びついています。腰痛をやわらげ、気分を上向かせ、産後の回復も助けます。

向いているもの:ウォーキング、水泳、水中運動、固定式自転車、衝撃の少ない有酸素運動、マタニティヨガ、マタニティピラティス、負荷を調整した軽い筋力トレーニング、ダンス。妊娠前から続けていた人は、たいてい調整しながら続けられます。

避けたいもの:お腹に衝撃を受けうる接触競技、転倒の危険が高いもの(スキー、乗馬、マウンテンバイク、器械体操)、胎児への減圧症の危険があるスキューバダイビング、高度2,500メートル超での慣れない運動、そしてホットヨガ、サウナ、熱い風呂。深部体温が39度を超えることは、妊娠初期の神経管閉鎖障害と関連づけられています。

すぐに中止して受診を:性器出血や水っぽいものが出る、胸の痛みや動悸、運動量に見合わない息切れ、強い頭痛や目のかすみ、ふくらはぎの腫れや痛み、めまいや気が遠くなる感じ。

つわりとだるさは現実の壁です。しっかりした運動が無理なら、短い散歩でもこの150分に数えられ、確かな効果があります。いま記録を狙う必要はありません。

妊婦健診と検査

妊娠初期には検査が集中します。それぞれが何のためかを知っておくと不安が減り、次の判断もしやすくなります。妊娠が分かったら住んでいる市区町村に妊娠届を出し、母子健康手帳と妊婦健診の受診券を受け取ります。健診は原則14回分が公費で助成され、23週までは4週に1回、24〜35週は2週に1回、36週以降は毎週が標準です。

初回健診(8〜10週ごろ)

妊娠を通じていちばん内容の濃い回です。妊娠の確認と分娩予定日の決定、血液型とRh因子(Rh陰性なら後に抗D免疫グロブリンが必要)、血算、血糖、B型・C型肝炎、梅毒、HIV、風疹抗体価、トキソプラズマ抗体、必要に応じて子宮頸がん検診、尿検査、血圧と体重の測定などを行います。無症状の細菌尿は早産の一因になるため、尿の検査も重要です。

初期の超音波検査

子宮内に妊娠していること、心拍があること、胎児の数を確認し、妊娠週数を正確に定めます。週数の確定はその後のすべての検査の解釈に影響するため、初期の超音波がもっとも信頼できるものさしになります。

後頸部浮腫(NT)の計測(11〜13週)

胎児の首の後ろにある液体のたまりを測ります。厚みが増していると、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーといった染色体の変化や、一部の心疾患の可能性が高くなります。単独では21トリソミーの検出率は約64〜70%です。血液検査(遊離型β-ヒト絨毛性ゴナドトロピンとPAPP-A)と組み合わせると85〜90%まで上がり、偽陽性はおよそ5%です。

母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT、10週以降)

母体の血液中を流れる胎児由来のDNA断片を調べる検査です。21トリソミーの検出率は99%を超え、偽陽性は約0.1%です。日本では2022年から、日本医学会の運営する認証制度のもとで実施施設が定められており、認証施設では検査の前後に遺伝カウンセリングが行われます。これは確定診断ではなく、あくまで可能性を示す検査です。陽性の場合は、絨毛検査または羊水検査で確定してから判断してください。

絨毛検査(11〜14週)

確定診断のための検査で、染色体の結果がはっきり出ます。超音波で見ながら、お腹または子宮頸部から胎盤の組織をごく少量採取します。検査に伴う流産の危険はおよそ0.5〜1%です。スクリーニングで可能性が高いと出た場合や、家族に既知の遺伝性疾患がある場合にすすめられます。

早期の超音波検査(6〜8週、必要な場合)

全員に行うものではありませんが、出血や痛みがある場合、流産や子宮外妊娠の既往がある場合、体外受精による妊娠の場合にすすめられます。妊娠が子宮内にあることを確かめ、6週ごろから見える心拍を確認し、週数を定めます。

流産 ── 数字と原因、知っておきたいこと

流産は妊娠初期でもっとも多い合併症であり、同時にもっとも孤独なもののひとつです。12週までは人に言わないという慣習もあって、多くは黙って経験されます。正しい数字を知ることは、現実的な見通しを持つためにも、そのあと多くの人が抱えてしまう見当違いの自責を解くためにも役立ちます。

流産の多くは一度きりの出来事で、そのあとに順調な妊娠が続きます。一度流産したあとの見通しは、流産を経験していない人と変わりません。二度続いたあとでも、次の妊娠が順調にいく可能性はおよそ75%です。

薬・物質と催奇形性

妊娠初期、とくに器官が形づくられる3〜10週は、催奇形性のある物質にもっとも敏感な時期です。同時に、妊娠に気づく前に曝露が起きやすい時期でもあります。

アルコール:どの時期にも安全とされる量はありません。胎児性アルコール・スペクトラム障害は、防ぎうる知的障害の原因として最大のものです。器官形成期の曝露は、とくに形態の異常と関連づけられています。

喫煙:流産、子宮外妊娠、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、早産、低出生体重、乳幼児突然死症候群と関連します。どの時期にやめても危険は下がりますが、初期にやめるのがもっとも効果的です。受動喫煙も同様に避けてください。

大麻:低出生体重や早産と関連します。安全な量は定められておらず、妊娠中と授乳中は完全に避けることがすすめられます。

市販薬と処方薬:安全に使えるものも多く、そうでないものもあります。市販の痛み止めを含め、どんな薬でも始める・やめる・続ける前に必ず医師か薬剤師に相談してください。イブプロフェンやアスピリンは妊娠中は原則として避け、アセトアミノフェンが第一選択です。効く範囲でもっとも少ない量を、必要な期間だけ使ってください。

レチノイド:ニキビに使う内服のイソトレチノインなどは強い催奇形性があり、妊娠中は絶対に使えません。レチノイド配合の外用薬も中止してください。皮膚からの吸収は少ないものの、慎重を期します。

妊娠初期の心の健康

妊娠中の不安とうつは、実際よりずっと少なく見積もられています。妊婦の15〜20%が臨床的に意味のある不安やうつを経験するとされ、なかでも初期の負担は大きくなります。ホルモンの影響もありますが、この時期の現実の不確かさも大きい ── 流産の危険をはっきり意識するのは、まさに誰にも言えないと感じている時期だからです。

よくあるのは、流産や胎児の異常をめぐる健康不安、妊娠に対する気持ちの揺れ(正常なことで、その後の親としてのあり方を予測しません)、以前に喪失を経験している場合の悲しみ、そして親になることの重みが現実になってくるときの夫婦の緊張です。

落ち込みが続く、心配が頭から離れない、パニック発作がある、侵入的な考えが浮かぶ、日常が回らない、自分を傷つける考えがある ── そうしたときは、助産師や産科の医師に話してください。認知行動療法、マインドフルネスにもとづく方法、そして一部の薬は妊娠中でも用いることができます。治療されないままだと、早産、低出生体重、産後の心の不調の危険が高まります。

妊娠初期の実際的な心得

よくある質問

第1三半期で最も一般的な症状は何ですか?

悪心と嘔吐(つわり)、疲労、乳房の圧痛、頻尿、気分の変動が最も一般的な症状です。ほとんどの女性は妊娠5〜8週頃にこれらの症状に気づきます。

最初の産前受診はいつにすべきですか?

妊娠8〜10週頃、または妊娠を確認したらすぐに最初の産前受診を予約してください。早期の血液検査はリスク因子の特定に役立ち、重要な栄養素レベルを確認します。

第1三半期に必要な葉酸の量はどのくらいですか?

理想的には妊娠前から1日400〜600マイクログラムが推奨されます。葉酸は神経管欠損症のリスクを大幅に低下させ、第1三半期の終わりまで摂取し続けるべきです。

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