妊娠
妊娠38週
妊娠38週は引き続き「早期正期産」。赤ちゃんは約49〜50cm・約3,000〜3,100g。子宮頸管の熟化・展退・開大が始まります。前駆陣痛の増加、浮腫み、卵膜栓の剥離、産後ケア施設の選択まで日本の医療情報をもとに解説します。
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この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。
出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本産科婦人科学会をご確認ください。
今週の概要
- 妊娠期間:妊娠後期(早期正期産)
- 赤ちゃんの長さ:頭からかかとまで約49〜50cm
- 体重:約3,000〜3,100g
- 分類:早期正期産(Early Term)— 正期産は39週0日から
妊娠38週。赤ちゃんの主要な発育はほぼ完成し、今週は体脂肪の蓄積・中枢神経系の微調整・出生後の生活への最終準備に集中しています。胎脂やラヌーゴの多くが羊水に溶け込み、生後初めての胎便となる準備が整っています。お腹の重さと疲労感はピークに達している方が多い週です。
産前産休(出産予定日の6週間前から)に入っている方が多いこの時期。産後ケア施設(産後ケアホテル・助産院の産後ケアサービス)の予約確認や、里帰り後の生活準備なども進めておきましょう。
赤ちゃんの発達
38週は「仕上げ」の週です。主要な発育はすでに完了しており、以下の点がさらに成熟します。
肺の成熟と体重増加
肺のサーファクタント産生が続き、肺の成熟はほぼ完成しています。ただし、残り1〜2週間でさらにサーファクタント量が増加するため、39週以降の方が呼吸障害のリスクはより低くなります。体重は引き続き週200〜250gのペースで増加。出生後の体温調節に必要な体脂肪の蓄積が進んでいます。
- 脳・神経系:脳の成長は急速です。神経の絶縁体であるミエリン(髄鞘)の形成が続いており、出生後のより速く・より協調した神経伝達を支えます。
- 胎脂・ラヌーゴ:ほとんどが剥がれ、羊水に溶け込んでいます。生後もわずかに皮膚のしわに残っている場合があります。
- 皮膚と体脂肪:皮下脂肪がさらに蓄積し、赤ちゃんらしいふっくらした外見になっています。
- 目の色:出生時の目の色は青みがかった灰色のことが多く、遺伝的な目の色とは異なる場合があります。メラニンの産生は出生後も続くため、最終的な目の色が定まるには生後6〜12ヶ月かかることがあります。
- 把握反射:強い握る反射が完成しており、生後すぐに指を握ることができます。
- 胎位:ほぼすべての赤ちゃんが頭位になっています。この週に骨盤深くに入り込む(固定)ことがあります。
ママの体と症状
38週の症状は37週の延長ですが、いくつか新たな変化が加わります。
息切れ・浮腫み・前駆陣痛
児頭固定(入門)が深まると膀胱への圧迫が強まり、頻尿が増悪します。一方、横隔膜への圧迫が和らいで呼吸がやや楽になることがあります。足首・手のむくみ(浮腫)は引き続き見られます。前駆陣痛は強さ・頻度ともに増してくる週です。
- 子宮頸管の変化:子宮頸管が軟化(熟化)・薄く(展退)・開き始めます(開大)。これを直接感じることはほとんどありません。
- 卵膜栓(粘液栓)の剥離:おりものの増加、ピンク・茶・赤みがかった分泌物(産徴)が見られることがあります。子宮頸管が変化しているサインで正常です。
- 骨盤・股関節の痛み:リラキシン(骨盤靭帯を弛緩させるホルモン)の影響で、骨盤周囲にズキズキした痛みや電撃痛が生じることがあります。
- 腰痛:骨盤靭帯の変化と赤ちゃんの体重により、腰の不快感が増すことがあります。持続する規則的な腰の痛みは「背部陣痛(back labor)」の可能性があります。
- 食欲不振・吐き気・軟便:分娩に向けた体の準備として起こることがあります。
- 疲労と活力の波:巣作り本能が強まる方もいます。無理しない範囲で。
- 不眠:不快感と頻尿で十分な睡眠が取りにくい時期です。昼寝を積極的に取りましょう。
栄養
妊娠後期に制限食は厳禁です。エネルギーと産後回復のために、栄養密度の高い食事を続けましょう。
- 鉄分豊富な食品:分娩時の出血に備えて特に重要。赤身肉・レバー(週1回程度)・小松菜・ひじき・豆腐。ビタミンCと組み合わせると吸収が高まります。
- カルシウム:赤ちゃんの骨の石灰化継続のために。牛乳・ヨーグルト・豆腐・小魚から1日約900〜1,000mgを目安に。
- マグネシウム:筋肉のけいれんを和らげ、睡眠改善にも。ナッツ類・種子類・玄米・緑葉野菜。
- 複合炭水化物:陣痛というマラソンのためのエネルギー源。玄米・さつまいも・オーツ麦。
- デーツ(ナツメヤシ):一部の研究では妊娠後期に1日6粒のデーツを食べることで陣痛の短縮・誘発率の低下が示されています。担当医と相談の上で取り入れてみてください。
- 良質な脂質:アボカド・ナッツ・オリーブオイル・鮭(DHA)。脳の発達継続に。
引き続き避けるもの:生の魚介類・生肉・アルコール・カフェインの過剰摂取(1日200mg未満)・高水銀魚(マグロの大型種・メカジキ・キンメダイの過剰摂取)・未殺菌乳製品。
運動(妊娠後期向け)
穏やかな活動を続けましょう。赤ちゃんの最適な体位への移行と陣痛準備に役立ちます。
- 毎日のウォーキング:20〜30分、無理のない範囲で。
- 骨盤前傾・キャット&カウ:腰痛の緩和と赤ちゃんの最適な体位への移行に。
- サポートありのスクワット:骨盤を開きます。安定した手すりや壁を使って。
- バースボール:バランスボールに腰を下ろしてゆっくり腰を回す。赤ちゃんの頭の固定を促します。
- 水中ウォーキング・マタニティスイミング:関節の負担を軽減し、むくみにも効果的です。
避けること:深いバックベンド・長時間の仰向け・転倒リスクのある活動・過熱。めまい・強い息切れ・異常な痛みを感じたらすぐに休んでください。
メンタルヘルスと出産不安
出産が迫るにつれて、期待と不安の間を行き来するのは非常に正常です。晩期妊娠の不安は性格の弱さではなく、大きなライフイベントへの自然な反応です。
- 準備を整えたら手放す。入院セットが準備できたら、あとは過度に心配しない練習を。
- 情報収集を制限する。深夜のネット検索は不安を増幅させます。信頼できる情報源(日本産科婦人科学会・厚生労働省・かかりつけ助産師)に限定しましょう。
- パートナーや信頼できる人に話す。不安と希望を率直に共有しましょう。
- 陣痛対処テクニックを練習する:深呼吸・イメージトレーニング・カウンタープレッシャー。今から練習することで陣痛中に自然に使えるようになります。
- 睡眠に積極的に対処する:抱き枕・スクリーンを見ない習慣・昼寝。
- 不安や気分の落ち込みが強い場合はサポートを求める。産前メンタルヘルスの問題は治療可能です。担当の産婦人科医・助産師に相談してください。
医師・助産師に相談するタイミング
以下の場合はすぐに産婦人科または産科病棟に連絡するか受診してください。
- 胎動の減少(活動時間帯に2時間で10回未満)
- スポッティングを超える性器出血
- 水様の液体が突然出る・または持続的に少量ずつ漏れる(破水の疑い)
- 規則的で痛みのある収縮が5分間隔(担当医の指示による)
- 休んでも改善しない激しい頭痛
- 視力の変化(ぼやける・光が見える)
- 右上腹部の激しい痛み
- 顔・手の突然の強いむくみ、または片側の足だけの腫れ
- 38°C以上の発熱
- 持続する嘔吐
今週の検査・妊婦健診
36週以降は毎週の妊婦健診が標準(日本産科婦人科学会ガイドライン)。38週の健診で確認されること:
- 血圧・体重・尿検査(尿たんぱく・尿糖)
- 子宮底長・胎児心音
- 胎動パターンの確認
- 内診(子宮口の開き・展退・固定具合)— 担当医の判断で行われます。必ずしも全員に行うわけではありません。
- バースプランの確認・産院での処置・警戒サインの再確認
- 陣痛誘発に関する相談(39週以前の選択的誘発は医学的適応がない限り行いません)
38週では新たな主要スクリーニング検査は通常ありません。GBSスクリーニングは36週前後に実施済みのはずです。妊娠糖尿病・高血圧・胎児発育の懸念がある場合は、ノンストレステスト(NST)や超音波検査が追加されることがあります。母子健康手帳への記録を忘れずに。
今週のヒント
- 陣痛の呼吸を練習する。ゆっくり鼻から吸って口から吐く。今のうちに習慣化しておくと陣痛中に自然に使えます。
- 作り置きと冷凍食品を増やす。産後2〜3週分の食事を冷凍しておくと退院後が格段に楽になります。カレー・豚汁・炊き込みごはんなど。
- 産褥期のケアグッズを準備する。産褥パッド・温水洗浄器(ウォシュレット)・授乳クッション・乳頭保護クリームなど。
- チャイルドシートの取り付けを再確認する。退院時に必要です。
- スマートフォン・カメラ・モバイルバッテリーを充電しておく。陣痛はバッテリーを待ってくれません。
次への準備
いつ陣痛が始まってもおかしくない時期です。最終確認リスト:
- 出産準備:産院への道順(渋滞時の代替ルートも)を確認。夜中に陣痛が始まったときの行動計画を整理。
- 入院セット:母子健康手帳・健康保険証・診察券・印鑑・退院時の服・授乳ブラ・洗面用品・充電器を玄関近くに。
- 産褥期の準備:産後ケア施設(産後ケアホテル・助産院)の予約確認。家族のサポート体制・食事配達サービスの登録。母乳育児を予定している方は分娩後に授乳外来・助産師の訪問サービスを事前に検索。
- 上の子・ペットの預け先確認:緊急時に連絡できる体制を整えておく。
- 小児科の選択:生後1ヶ月健診を受ける小児科を事前に決め、場所・連絡先を確認。
- 出産育児一時金(50万円)の手続き:直接支払制度を利用する場合は産院で書類に署名するだけです。確認しておきましょう。
妊娠38週のよくある質問
妊娠38週は「正期産」ですか?
いいえ。日本産科婦人科学会およびACOGでは、38週は「早期正期産(early term)」です。正期産(full term)は39週0日から始まります。38週で生まれた赤ちゃんの多くは健康ですが、39週以降と比べると脳の成長・肺の成熟・体重増加の観点でわずかに未熟な部分が残ることがあります。医学的な理由がない限り、38週での選択的分娩はACOGも日本産科婦人科学会も推奨していません。自然に陣痛が始まった場合は、赤ちゃんの準備が整ったサインです。
お腹が突然岩のように硬くなります。これは何ですか?
突然お腹が硬くなり、その後緩む感覚は、ほぼ前駆陣痛(ブラクストンヒックス収縮)です。38週になると頻度・強さともに増してきます。体位を変える・水を飲む・休むと和らぐことが特徴です。収縮が規則的になり(例:10分おきに1回)、強さと間隔が時間とともに変化し始めたら、本陣痛の可能性があります。その場合は陣痛のタイミングを記録し始めてください。
内診で「子宮口2cm」と言われました。すぐ産まれますか?
必ずしもそうではありません。子宮口の開き(開大度)は陣痛開始時期の正確な予測にはなりません。3〜4cm開大したまま数週間過ごす方もいれば、ほとんど開いていない状態から数時間で分娩まで進む方もいます。内診の結果は体が準備を始めているサインではありますが、時期の予測は難しいです。多くの産婦人科医が低リスク妊娠では内診を省略することもあるのはそのためです。
骨盤の下の方に常に重い感じがあります。正常ですか?
はい。赤ちゃんの頭が骨盤深くに降りてくる(児頭固定)と、骨盤・腟・直腸への持続的な圧迫感が出ます。「赤ちゃんが落ちてきそう」と感じる方も多いですが、これは感覚で実際にそうなることはありません。骨盤サポートベルトの着用・温かい入浴(シャワーでも可)・骨盤を高くした休息姿勢が不快感を和らげます。
38週のむくみはどこまでが正常ですか?
足首・足の甲・手の軽度のむくみは、血液量の増加と子宮による静脈への圧迫によるもので正常です。すぐに産婦人科に連絡すべき場合:顔や目の周りの突然の強いむくみ、激しい頭痛・視力の変化・右上腹部の痛みを伴うむくみ(子癇前症の疑い)、片方の足だけの腫れ(深部静脈血栓症の疑い)。これらは緊急受診が必要なサインです(日本産科婦人科学会ガイドライン)。
38週で下痢・軟便が続いています。陣痛が近いですか?
38週での軟便や下痢は、プロスタグランジン(子宮頸管を軟化させるホルモン)が腸にも影響するために起こることがあります。陣痛前の「体のお掃除」とも言われます。ただし、下痢だけで陣痛が始まると断言はできません。下痢が激しい・発熱・嘔吐を伴う場合は脱水を防ぐため水分補給を続けながら産婦人科に連絡してください。妊娠後期の脱水はリスクがあります。
陣痛を促す方法はありますか?
日本産科婦人科学会を含む医療団体は、医学的適応のない38週の分娩誘発に反対しています。穏やかな活動(ウォーキング・マタニティヨガ・バースボール・性生活)は体が準備できていれば分娩を促す可能性がありますが、根拠は限られています。ひまし油・未検証のハーブ・激しいニップルスティミュレーションは過強陣痛のリスクがあり、避けてください。焦らず、赤ちゃんが準備できる39週以降を待つことが最善です。何か試す前に担当の産婦人科医・助産師に必ず相談を。
飛行機や長距離移動は38週でも大丈夫ですか?
多くの航空会社は妊娠36週以降の搭乗を制限しています(国内線・国際線で異なります)。38週では国内の長距離移動(新幹線等)も、産科病棟から離れた場所での滞在は推奨されません。陣痛はいつでも始まる可能性があります。里帰り出産を予定していた方で、まだ実家に移動していない場合は、担当医と相談の上で判断してください。
子宮頸管の「展退(effacement)」とはどういう意味ですか?
展退とは、子宮頸管が薄くなり短くなっていくことで、分娩に向けた準備過程です。0%は頸管がまだ厚い状態(約3〜4cm)、100%は完全に薄くなった状態です。初産婦では開大より先に展退が進むことが多いです。開大と同様に、展退の程度だけで陣痛の開始時期を予測することは難しいです。
38週で陣痛をすべて記録すべきですか?
お腹が張るたびに記録する必要はありませんが、収縮が規則的になり強さを増してきたら記録を始めましょう。一般的な目安は「5-1-1」:5分間隔で1分間続く収縮が1時間以上続く場合、産院に電話してください。ただし担当医によって基準が異なります(例:初産婦は5分間隔、経産婦は10分間隔で連絡するよう指示される場合もあります)。スマートフォンの陣痛アプリやメモ帳で開始時刻・持続時間・強さを記録しましょう。
公開日:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。
出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本産科婦人科学会をご確認ください。
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