ベビーケア

乳児マッサージ:テクニックと効果

乳児マッサージの身体的・感情的なメリット、実施方法、および科学的根拠に基づいたヒントを解説します。

監修: Whispie 編集チーム エビデンスに基づく育児リサーチ

公開日:

この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。

出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本小児科学会をご確認ください。

リサーチと監修の方針 →

ベビーマッサージについて研究がわかっていること

日本ではベビーマッサージはすでに身近な習慣です。沐浴のあとに肌をなでる、着替えのついでに足をさするといった触れ合いは多くの家庭で自然に行われていますし、子育て支援センターや助産院、産後ケア施設ではベビーマッサージ教室が定期的に開かれています。この記事の役割は、新しいやり方を教えることではなく、すでにある習慣を今わかっている知見と結びつけることです。どこに確かな効果があり、どこは根拠が弱く、どんなときにやめるべきかを整理していきます。

研究の出発点は新生児集中治療室でした。1986年、ティファニー・フィールドらの研究グループは、1日3回15分の触覚刺激を受けた早産児が、比較群より約47%速く体重が増え、平均して6日早く退院したことを報告しています。この結果はその後さまざまな国で繰り返し再現され、今でも根拠のもっとも確かな部分になっています。

正期産で健康な赤ちゃんについては、もう少し穏やかな話になります。この30年ほどで多くのランダム化比較試験が行われ、比較的よく再現されているのは次の点です。

限界についても正直に書いておきます。多くの研究は対象人数が少なく、追跡期間も短く、そして「マッサージ」と呼ばれるものが軽くなでる程度からしっかり圧をかけるものまで幅広いため、研究どうしを比べること自体が難しいのです。コクランの系統的レビューは、効果は穏やかで根拠の質は低〜中程度、と慎重に述べています。ですから「効果が証明されている」ではなく「限られてはいるが期待できる根拠がある」という言い方が正確です。ただし、触れられることを喜ぶ健康な赤ちゃんにとって危険はほぼありません。仮に効果が期待より小さかったとしても、穏やかな15分をふたりで過ごしたという事実は残ります。

マッサージが眠りを助けるしくみ

穏やかな接触はセロトニンとオキシトシンの分泌をうながし、コルチゾールを下げます。セロトニンは睡眠と覚醒のリズムをつかさどるメラトニンの前駆物質なので、マッサージと眠りのつながりには生理学的な裏づけがあります。ただし断っておくと、赤ちゃん自身のメラトニン分泌が整うのは生後3〜4か月ごろからです。新生児で見られる落ち着きは、ホルモンの変化というより全体の興奮が下がったことによるものと考えるほうが自然でしょう。

実際に取り入れるときのこつはひとつです。夜の流れの最後から二番目にマッサージを置いてください。沐浴、マッサージ、最後の授乳と寝かしつけ、という順番です。この順番そのものが合図として働くようになり、赤ちゃんは流れを覚えて「あと20分ほどで眠る時間だ」と理解していきます。足と背中を5分から10分ゆっくりなでるだけでも、生後2〜3か月には多くの赤ちゃんで目に見える変化が出ます。呼吸が整い、握っていた手がひらき、動きがゆっくりになります。

何をしても効かない晩もあります。それでも続けてください。ここで効いてくるのは一回のうまくいったセッションではなく、何週間もの繰り返しです。同時に、マッサージだけで睡眠の問題が解決するとは考えないでください。これは夜の流れを支える確かな一部であって、他の手が尽きた最悪の晩に取り出す切り札ではありません。寝つきや夜泣きが続く、体重の増えが悪い、いびきをかく、悲鳴のような泣き方で起きるといった場合は、マッサージより先にかかりつけの小児科医に相談してください。乳幼児健診も相談しやすい機会です。

ベビーマッサージと親子の絆

安定した愛着は、その子がストレスにどれだけしなやかに向き合えるか、人とどうかかわるかに何十年も影響する土台です。それは大きな出来事からではなく、一年目に積み重なる何千という小さなやりとりからつくられます。ベビーマッサージは、そうしたやりとりを意図してつくれる数少ない方法のひとつです。目と目を合わせること、赤ちゃんの反応を読んですぐ手の動きを変えるというやりとりの往復、そして長く続く肌の接触。そのどれもが、赤ちゃんと大人の双方で同じ神経のはたらきを動かします。

産後の気持ちが落ち込みやすい時期については、別の報告があります。2010年のランダム化比較試験では、5週間のベビーマッサージ講座に参加した母親は、比較群よりも産後うつの評価尺度の点数が明らかに下がりました。研究者はその理由を二つ挙げています。ひとつは肌の接触によるオキシトシン、もうひとつは「自分にもできることがある」という具体的な手応えです。産後はまずこの手応えが失われがちで、それを取り戻す技術は赤ちゃんのためだけに働くわけではありません。ただしこれは専門家の支援の代わりにはなりません。気持ちの落ち込みが2週間以上続くようなら、かかりつけの小児科医や地域の保健センターの保健師に伝えてください。

出産も授乳もしていない父親やパートナーにとって、マッサージは自分なりのやり方で近づける数少ない道です。フィールドらの研究では、1か月間毎日マッサージをした父親は、比較群の父親よりも育児への自信と赤ちゃんとの情緒的な近さがはっきり高いと答えました。しくみは単純で、よく反応する赤ちゃんに集中して長く触れていれば、互いに慣れるのが早いというだけのことです。祖父母など、日常的に赤ちゃんと過ごす人にも同じことが言えます。

月齢別のテクニック

生後3週の赤ちゃんに合うことが、5か月の赤ちゃんにも合うとはかぎりません。発達の段階、筋肉の張り、神経系の成熟度によって、心地よいことも、そもそも適切なことも変わります。

新生児から生後6週まで

肌と肌を合わせる抱っこは生まれた日から適切で、それ自体がすでに有益な触れ合いです。オイルを使った本格的なマッサージは、へその緒の跡が取れて皮膚が完全にふさがるまで待ちましょう。始めるときは5分を上限にごく短くします。使うのは脚と足の裏への長くゆっくりした軽いなで方だけで、残りの時間は静かに目を合わせて話しかけることに使ってください。この時期の目的は技術ではありません。触れられることは安全で、次に何が起きるか予測できる、と赤ちゃんが学ぶことです。

生後6週から3か月

習慣として定着させるのにいちばん向いた時期です。赤ちゃんはやりとりに参加できるくらい目覚めていますし、生活のリズムが読めるようになってくるので、夜の流れを組み立てやすくなります。脚から始めてください。ほとんどの赤ちゃんは脚への接触をいちばん受け入れやすいからです。そこから足の裏、お腹、胸、腕、背中へと進みます。教室でよく教えられる方法があります。少量のオイルを手のひらであたためて、ひらいた手を赤ちゃんの足元に近づけて待つのです。あたたかい手を近づけること自体が「これから始めていい?」という問いかけになります。赤ちゃんが足で蹴るように近づいてきたり、落ち着いて興味を示していたら始めてかまいません。ひとつひとつの動きはゆっくり、規則的に、力加減も一定に。圧は軽めから中くらいまでで、深く揉むことは絶対にしません。時間の目安は10分から15分です。

生後3か月から6か月

この時期の赤ちゃんは社交的になり、マッサージは本当のやりとりになります。関節をやさしく動かす動きを加えられます。ガスがたまっているときの自転車こぎのような脚の運動や、胸の前で腕をそっと交差させる動きです。「アイラブユー」と呼ばれるお腹の手技もこの時期から意味を持ちます。指2本で、まず赤ちゃんの左側のお腹を上から下へまっすぐ下ろし、次にお腹の上部を左から右へ横切って右側を下ろし、最後に右下から上がって横切り左側を下ろします。これは大腸の走行をなぞる動きで、たまったガスを進めるのを助けます。お腹はつねに時計回りに。反時計回りでは腸の自然な動きに逆らうことになります。

生後6か月から1歳

この月齢の赤ちゃんはよく動き、すぐ気が散ります。ですからセッションは会話のようにしてください。ひとつずつ「次は足だよ」と声に出し、目を合わせ、歌ってもかまいません。顔のマッサージも加えられます。頭皮をごくやさしく小さく円を描く、眉の中央から外へ向かってなでる、頬にやわらかく円を描く。喜ぶ子もいれば、顔への接触は刺激が強すぎると感じる子もいるので、反応をとくに注意深く見てください。うつぶせにしての背中のマッサージは、この時期いちばんよく休まることが多いようです。途中で寝返って逃げてしまう子には、長い一回にこだわらず5分から8分の短い回を分けて行うほうがうまくいきます。

オイルの選び方

この章はいちばん丁寧に読んでいただきたいところです。生後数か月の皮膚は大人と違い、外からの刺激を防ぐバリア機能がまだ未熟です。オイルの種類によってはそのバリアを乱し、皮膚からの水分の蒸発を増やして、時間とともに肌を刺激に弱くしてしまうことがあります。

日本の薬局では、日本薬局方のオリーブ油が長くベビーマッサージ用として売られてきました。使ってきた方も多いはずですが、近年の研究はこの点で注意をうながしています。2013年のダンビーらの研究では、ひまわり油、オリーブ油、オイルなしを比べたところ、オリーブ油はバリア機能を明らかに乱し、ひまわり油はオイルを使わない場合とほぼ変わりませんでした。2016年のクックらの研究でも、ひまわり油と精製したココナッツオイルはどちらもバリアを保ちました。これまでの使い方が間違いだったという話ではありません。以前は存在しなかったデータが出てきたので、今なら別の選択ができる、というだけのことです。

向いているもの:無香料で低温圧搾のひまわり油、精製したココナッツオイル、そして薬局で買える流動パラフィンを主成分とするベビーオイル。いずれも食品用または医薬品用の品質で、香料や保存料が加えられていないものを選びます。全身に使う24時間前に、腕の内側に1滴つけて様子を見てください。

避けたいもの:主たるオイルとしてのオリーブ油、香料や精油が加えられたもの、家族にアレルギーやアトピー性皮膚炎がある場合のナッツ由来のオイル(アーモンド油やピーナッツ油)、そして成分表示の長いローション類。精油は生後6か月未満には使わず、それ以降も専門家の指導のもとでのみ使ってください。もうひとつ大切なのは、マッサージオイルと毎日の保湿剤は役割が別だということです。乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の傾向があるなら、保湿とスキンケアはかかりつけの小児科医と相談して決め、マッサージはその上に重ねる楽しみとして考えてください。

IAIMの資格とはどういうものか

国際ベビーマッサージ協会(IAIM)は1981年に設立されました。創設者のヴィマラ・マクルーアは、インドで孤児の世話をしていたときに出会ったインドの乳児マッサージの伝統を、保護者に教えられる形に整理した人物です。現在、この団体は保護者向けベビーマッサージ教育の分野で最大の国際組織で、40か国以上に認定インストラクターがいます。日本国内でもIAIMの認定を受けたインストラクターによる教室が開かれています。

認定インストラクターは、手技の全体の流れ、発達期の解剖、赤ちゃんのサインの読み方、早産児や障害のある赤ちゃんへの手技の調整、そして保護者に教える際の倫理を含む正式な課程を修了しています。ここで大事な区別があります。インストラクターが教える相手は保護者であって、赤ちゃんを治療する人ではありません。講座はふつう4回から5回で、毎回ちがう部位を扱います。グループで行われるため、同じ時期に子育てをしている人どうしのつながりが生まれ、それ自体が産後の支えになるという指摘もあります。

日本には複数の民間団体がそれぞれ独自のベビーマッサージ資格を出していて、名前だけでは中身を比べにくいのが実情です。教室を選ぶときは資格の名称より、何回で何を扱うのか、赤ちゃんのサインの読み方や中止すべき場面を教えてくれるのか、を確認するとよいでしょう。

自分の赤ちゃんに家でマッサージをするだけなら、資格は必要ありません。この記事で説明した考え方は、そうした講座で教えられる原則と同じものです。ただし、早産で生まれた、医療的な経過が複雑、あるいは疝痛や吐き戻しに何か月も悩まされているという場合は、一般的な記事では届かないところ、つまりあなたの赤ちゃんの状況そのものを見てもらえます。地域の保健センターや子育て支援センターでは、無料または低額の教室が開かれていることが多いので、有料の講座を申し込む前に確認してみてください。

マッサージをしてはいけないとき

いつやめるか、いつ始めないかを知っていることは、どの手技よりも大切です。次の場面ではマッサージを避けるか、医師の許可が必要です。

よくある心配についてもひとこと。手足の突っぱりや反対にやわらかすぎる感じが気になっても、自分で揉みほぐそうとしたり力を強めたりしないでください。家庭のマッサージは治療ではありません。気になることは1か月健診や3〜4か月健診などの乳幼児健診で相談し、必要なら小児科から専門の先生につないでもらいましょう。

教室で必ず教えられる約束事があります。毎回、始める前に赤ちゃんの許可をとること。これはきれいな言い回しではなく、実際の短い確認です。赤ちゃんが手のほうへ寄ってくるか、力が抜けているか、こちらを見ているか。それを見てから始めます。

赤ちゃんのサインを読む

言葉にならないサインを正確に読み取る力は、おそらくベビーマッサージが保護者に与えるいちばん役に立つものです。この力はマッサージの外にも広がります。セッション中に赤ちゃんが出すサインは、授乳のとき、お風呂のとき、遊びのときに出すサインと同じだからです。落ち着いた場面でサインを読む練習をした人は、赤ちゃんの伝えたいことを全般に読み取りやすくなります。

受け入れているサイン(始めてよい、続けてよい):

もう十分というサイン(休むか終える):

こうしたサインが出たら、手を赤ちゃんの体にそっと置いたまま動かすのをやめ、20秒から30秒待ちます。また向き合ってくれたら、力をさらに弱めて続けるか、別の部位に移ってください。それでも戻らなければ、そこで終わりにします。求められてやめることは、あきらめることではありません。触れられることを、圧倒される体験ではなく安心と結びつけてもらうために、いちばん大切な行いです。

手順:基本のセッション

次の流れは、少しずつマッサージに慣らしてきた生後6週以降の赤ちゃんに向いています。

  1. 環境を整える。室温は22℃以上のあたたかい部屋で。かたい面の上にやわらかい清潔なタオルを敷きます。床に置いたおむつ替えマットがちょうどよいでしょう。手を洗い、指輪や腕時計をはずし、オイルを数滴とって手のひらであたためます。
  2. 許可をとる。あたためたひらいた手を赤ちゃんの足元に近づけ、目を合わせます。「マッサージしようか」と静かに声をかけ、受け入れているサインが出るのを待ちます。
  3. 脚と足。太ももから足先へ長くなでるところから始めます。次に太もも、ふくらはぎ、足の順にやさしく包んで転がすように動かします。親指で足の裏をかかとからつま先へなでます。それぞれの動きは3〜4回ずつ繰り返してから次へ進みます。
  4. お腹。指1〜2本でおへその周りを時計回りに円を描きます。やさしく一定の圧だけで、満腹のときは決して押しません。赤ちゃんが受け入れていれば「アイラブユー」の流れを加えます。
  5. 胸。ひらいた手のひらを胸の中央に置き、本をひらくように肩へ向かって外側へなでます。次に中央から腰のほうへ下ろします。
  6. 腕と手。肩から手首へなでます。前腕をやさしく転がすように動かします。親指で手のひらをのばし、握っていればそっとひらきます。指を力ずくでひらくことは絶対にしません。
  7. 顔(任意)。額の中央からこめかみへ。眉の上を中央から外へ。頭皮に小さく円を描きます。少しでも嫌がるサインがあれば飛ばしてください。
  8. 背中。赤ちゃんをうつぶせにします。首からおしりまで長くなでます。背骨の上は避け、その両側をなでてください。最後に背中全体をゆっくり大きくなでて、そろそろ終わりだと伝えます。
  9. 終わり方。あたたかいタオルで包むか服を着せます。目を合わせたまま、やさしく話しかけてください。このあとは授乳や抱っこ、あるいは寝かしつけの次の手順に自然につながります。

赤ちゃんが乗っていれば全体で10分から15分になります。ただし進み方を決めるのは赤ちゃんです。脚とお腹だけで終わったセッションも、それで完成しています。

よくある質問

新生児へのマッサージはいつから始められますか?

肌と肌を合わせるやさしい触れ合いは生まれた日から適切です。ただしオイルを使った本格的なベビーマッサージは、へその緒の跡が取れて皮膚が完全にふさがってから、目安としては生後4〜6週ごろから始めるのがよいでしょう。この時期になると赤ちゃんの神経系も長く続く接触を受け止めやすくなり、本人も楽しめるようになります。早産で生まれた赤ちゃんにもマッサージは役立ちますが、退院後に始めるときはかかりつけの小児科医に確認してください。手技が正期産の赤ちゃんとはかなり異なります。

1回のセッションはどのくらいの長さがよいですか?

研究で使われているのはたいてい10分から15分で、家庭でもこれがよい目安になります。新生児は5分から7分しかもたないこともありますが、それで問題ありません。マッサージに慣れて集中できる時間が延びてきたら、少しずつ長くしていきましょう。どの時間の目安よりも大切な原則があります。長さを決めるのは赤ちゃんだということです。顔をそむける、背中を反らせる、泣き始めるといったサインが出たら、まだ3分でもそこで終わりにしてください。

ベビーマッサージにはどのオイルがよいですか?

日本の薬局では日本薬局方のオリーブ油が長くベビーマッサージ用として売られてきましたが、近年の研究はここに注意をうながしています。ダンビーらの研究では、オリーブ油は新生児の皮膚のバリア機能を明らかに乱した一方、無香料のひまわり油はオイルを使わない場合とほぼ変わりませんでした。今すすめられるのは、低温圧搾で無香料のひまわり油、精製したココナッツオイル、薬局で買える流動パラフィンを主成分とするベビーオイルです。家族にアレルギーがある場合はナッツ由来のオイルを避け、精油は生後6か月未満には使いません。全身に使う24時間前に腕の内側で試してください。

マッサージは本当に眠りをよくしますか?

期待できる根拠はありますが、控えめに受け止めるのが正確です。複数の研究のまとめでは、生後6か月未満の赤ちゃんで総睡眠時間が長くなり夜間の目覚めが減る傾向が報告されています。しくみとしては、コルチゾールが下がり、メラトニンの前駆物質であるセロトニンの分泌が増えることが考えられています。結果がはっきり出るのは、思いついたときにやる場合ではなく、毎晩の入眠前の流れに組み込んだ場合です。研究の規模は小さいので、睡眠の問題を治す方法ではなく、役に立つ習慣のひとつと考えてください。困りごとが続くときはかかりつけの小児科医や乳幼児健診で相談しましょう。

IAIMの認定とはどういう意味で、探すべきですか?

IAIMは国際ベビーマッサージ協会のことで、保護者向けベビーマッサージの指導者を養成し認定している最大の国際団体です。認定インストラクターは正式な課程を修了し、手技の全体の流れと赤ちゃんのサインの読み方を保護者に教えられる人です。ここで大事な区別があります。インストラクターが教える相手は保護者であって、赤ちゃんを治療する立場ではありません。日本には複数の民間団体が独自の資格を出しているため、名称より内容で選ぶほうが確実です。資格を探すことは必須ではありません。多くの家庭は教室に通わずに家で行っていますし、地域の保健センターや子育て支援センターの無料の教室から始めるのもよい方法です。

マッサージをしてはいけないのはどんなときですか?

38℃を超える熱があるとき、嘔吐や下痢があるとき、見るからに具合が悪いときは行いません。傷やとびひのある皮膚、アトピー性皮膚炎が悪化している部分、治りかけの手術のあとの上はさすらないでください。予防接種のあとは48〜72時間、注射した場所とその周辺を避けます。授乳のあとは少なくとも30〜45分空けて、とくにお腹のマッサージは満腹のときには行いません。嫌がる赤ちゃんに無理をさせないこと。体をこわばらせる、顔をそむける、泣くのは、はっきりした中止のサインです。心臓の病気、骨がもろくなる病気、出血しやすい病気、手術後の回復期などは、かかりつけの小児科医の許可を得てから行ってください。

疝痛やガスにマッサージは効きますか?

お腹を時計回りに円を描いてさする方法と「アイラブユー」と呼ばれる手技は、ガスや疝痛のときによくすすめられます。系統的レビューでは、マッサージが疝痛のある赤ちゃんの泣く時間を短くする可能性が示されていますが、対象人数が少ないため根拠の質は低〜中程度と評価されています。それでも実際に役立つと感じている保護者や小児の看護職は多く、危険がほとんどないことを考えれば、まず試してよい方法だと言えます。お腹への圧はごく弱くし、赤ちゃんがつらそうならすぐにやめてください。

父親や出産していないパートナーもマッサージをしてよいですか?

もちろんです。むしろ、そうした人にとってとくに価値があるという報告があります。1か月間毎日マッサージをした父親は、比較群の父親よりも育児への自信と赤ちゃんとの情緒的な近さがはっきり高いと答えました。ベビーマッサージは、授乳にも産後の回復にも左右されない数少ない早い時期の関わり方です。画面を見ずに、向かい合って過ごす時間が確保できます。マッサージをする人が産んだ親でなければならない生理学的な理由はありません。祖父母など、日常的に赤ちゃんと過ごす人にも同じことが言えます。

オイルは必ず使わなければいけませんか?

必ずというわけではありません。ただしオイルを使うと、やわらかい肌の上で手がすべりやすくなり、動きがなめらかになって赤ちゃんにも大人にも心地よくなります。オイルを使わないマッサージが研究の場で使われることはありますが、日々の家庭での実践では数滴のオイルがあるだけで感触がかなり変わります。量は本当に数滴で十分です。手がすべるだけの量であって、肌がべたつくほど使う必要はありません。なお、毎日の保湿剤とマッサージオイルは役割が別なので、肌のトラブルがあるときのスキンケアはかかりつけの小児科医と相談して決めてください。

赤ちゃんが気持ちよさそうかどうか、どう見分けますか?

受け入れているサインは、長く目が合う、手足の力が抜けている、手のひらがひらいている、表情が穏やかかうれしそう、やわらかい声を出す、こちらの手のほうへ体を寄せてくる、といったものです。始める前に静かに目を覚ましている状態なら、タイミングは合っています。反対に、顔や視線をそらす、背中を反らせる、顔をしかめる、こぶしを固く握る、しゃっくりが出る、肌の色がまだらになる、泣くといったサインは、休みたいという合図です。このサインを読めるようになること自体が、保護者にとってベビーマッサージの大きな収穫です。同じサインを赤ちゃんは授乳やお風呂、遊びのときにも出しているからです。

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