妊娠週数ガイド
妊娠28週
妊娠28週は妊娠後期の正式なスタートです。赤ちゃんは約37.6cm・1,000gに成長し、目が開いて光を感じるようになります。息切れ・むくみ・前駆陣痛・胎動カウントの始め方を解説します。
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この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。
出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本産科婦人科学会をご確認ください。
今週の概要
- 時期:妊娠後期の正式なスタート(妊娠8ヶ月)
- 赤ちゃんの大きさ:頭からかかとまで 約37.6cm、体重 約1,000g
- 今週のポイント:目が開いて光を感じられるようになり、肺はサーファクタントを産生し始めます。胎動カウントを正式にスタートする週です。
妊娠28週は妊娠後期の正式なスタートです。妊娠7ヶ月が終わり、残り約12週となりました。赤ちゃんは大きなナスほどの大きさで、体重がいよいよ1,000gに達します。今週は大きな発達の節目です。融合していたまぶたが開くようになり、赤ちゃんは目を開閉してお腹の外からの光を感じることができるようになります。肺と脳はまだ子宮内での成熟が必要ですが、設備の整ったNICU(新生児集中治療室)があれば妊娠28週生まれの赤ちゃんの生存率は通常90%以上です。
妊娠後期に入ると、新しい身体の感覚・妊婦健診の頻度の増加・出産に向けた現実的な準備が始まります。多くの産婦人科では妊娠28週頃から健診が月1回から2週間に1回に変わります。母子健康手帳に次回の健診日を記入しておきましょう。
赤ちゃんの発達
妊娠28週の子宮の中では、複数の大きな発達が同時に進んでいます。
- 眼:妊娠第2期から融合していたまぶたが分離しました。赤ちゃんは目を開閉して瞬きをし、お腹の壁を透過してくる光を感じることができます。まつげが生えており、網膜は引き続き成熟中です(成熟は生後数ヶ月まで続きます)。
- 脳:大脳皮質に特徴的な折り畳み(脳回・脳溝)が急速に形成されています。数十億個のニューロンがネットワークを形成しており、脳の重量は妊娠中期と比べておよそ3倍になっています。脳の発達を支えるREM睡眠サイクルが画像検査でも確認できるようになります。
- 肺:肺はサーファクタント(肺胞を広げ、萎縮を防ぐ物質)を産生し始めています。サーファクタントの産生量は出産予定日に向けて増え続けるため、子宮内で1週間過ごすごとに呼吸器合併症のリスクが意味のある形で低下します。
- 体脂肪:白色脂肪組織が蓄積され始め、これまでしわしわだった皮膚が少しずつ丸みを帯びてきます。この脂肪は生後の体温調節に欠かせません。
- 聴覚:お母さんの声・パートナーの声・音楽・周囲の音に確かに反応します。聞き慣れた声に対して心拍数が変化することが確認されています。
- 骨髄:骨髄が肝臓・脾臓に代わって赤血球産生を完全に担うようになりました。これは胎児の代謝的自立に向けた重要な一歩です。
ママの体と症状
妊娠後期に入ると、体はこれまで以上に一生懸命働いています。血液量は妊娠前に比べて40〜50%も増加し、子宮はおへそよりも数センチ上まで達しています。今週よくある症状:
- 息切れ:子宮が横隔膜を圧迫することで起きます。少し動いただけで息が上がる感覚が続くことがあります。
- 胸やけ・消化不良:消化が遅くなり、胃が上に押し上げられることで起きます。
- 腰痛:重心が移動し、リラキシンが靭帯を緩めることで悪化します。
- 夜間のこむら返り:特に夜中に突然ふくらはぎが痙攣します。
- 前駆陣痛(ブラクストンヒックス収縮):不規則で痛みのないお腹の張り。体位変換や水分補給で和らぎます。
- むくみ(浮腫):足・足首・手の軽いむくみ。
- 睡眠障害:身体的な不快感と頻尿が眠りを妨げます。
- 鮮明な夢:睡眠が断片化し、ホルモン変動があることで起きやすくなります。
- 初乳の漏れ:黄色みがかった初乳が少量出る方もいます(出ない方も正常です)。
栄養
妊娠後期は妊娠前の基礎代謝量に比べて1日あたり約450kcal多く必要です(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)。カロリーよりも栄養の質を優先しましょう。今週特に意識したい栄養素:
- 鉄(1日21.5mg):血液量がピークに近づく妊娠後期に特に重要です。赤身肉・鶏肉・豆腐・ひじき・ほうれん草・枝豆が主な供給源。植物性の鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。
- カルシウム(1日650mg):急速に骨が硬化する赤ちゃんの骨格を支えます。ヨーグルト・牛乳・豆腐・小魚・小松菜から摂りましょう。
- DHA(1日200〜300mg):脳と目の発達に不可欠です。水銀の少ない青魚(さんま・いわし・サーモン)または藻類由来のサプリメントで補いましょう。
- たんぱく質(1日+25g増量):赤ちゃんの組織成長と母体の維持を支えます。
- コリン(1日450mg相当):脳の発達と記憶を支え、不足しがちな栄養素です。卵・大豆製品・鶏肉・豆類から摂りましょう。
引き続き避けるべき食品:アルコール(完全禁止)、高水銀魚(サメ・メカジキ・キングマカレル)、生肉・生魚(刺身は担当医と相談)、非殺菌乳製品・ジュース、生スプラウト、カフェインは1日200mg以下に。
運動
妊娠後期も適切な運動は大切です。日本産科婦人科学会およびWHOは、合併症のない妊娠では週150分以上の中程度の運動を推奨しています。妊娠28週に特に適した運動:
- ゆったりとしたペースのウォーキング
- マタニティスイミング・水中ウォーキング(水の浮力で関節への負担が激減)
- マタニティヨガ(深いひねりや仰向けの長時間ポーズは避けましょう)
- 固定式バイク
- 骨盤底筋運動(ケーゲル体操)・マタニティピラティス
避けるべき活動:コンタクトスポーツ、転倒リスクの高い活動(スキー・乗馬)、スキューバダイビング、ホットヨガ、長時間の仰向け姿勢。収縮・出血・液体漏れ・めまい・胸の痛み・ふくらはぎの痛みや腫れ・胎動の減少があればすぐに運動を中止し、産婦人科に連絡してください。
メンタルヘルス
妊娠後期に入ると感情の風景が変わります。赤ちゃんに会える期待と、出産への不安・家計の心配・関係や仕事がどう変わるかへの不安が共存します。身体的な不快感による睡眠不足が気持ちの変動を大きくすることもあります。こういった感情を抱えることは何もおかしくありません。
本当に役立つ方法:
- 出産への希望や不安をパートナーとオープンに話す
- 出産トラブルを強調するネット記事や動画を見すぎない(情報収集というより不安を煽るコンテンツが多いです)
- うつや不安の既往がある方は、産前からかかりつけの医師・助産師に相談しておく
- マタニティピローを活用して左側臥位の睡眠を確保する
- 毎日短い時間でよいのでゆっくり呼吸する・外を散歩する・瞑想アプリを使うなどリラックスの習慣を作る
2週間以上続く持続的な悲しみ・繰り返す心配な考え・パニック発作・妊娠への関心の喪失を感じたら、かかりつけの産婦人科医または助産師に相談してください。周産期のこころの問題はよくある状態であり、適切なサポートが必要です。
医師に相談するタイミング
妊娠28週からは胎動の監視が特に重要になります。以下の症状があれば速やかに産婦人科に連絡してください。
- 胎動の明らかな減少:赤ちゃんがいつもより活発な時間帯に2時間で10回に満たない
- 性器出血(少量でも)
- 腟からの液体漏れ(破水の可能性)
- 37週未満での規則的な痛みを伴う収縮(早産の兆候)
- アセトアミノフェンで改善しない激しい頭痛
- 視力の変化:かすみ・光の点滅・視野の欠け
- 顔・手・目の周りの突然の強いむくみ
- 右上腹部の激しい痛み
- 手のひら・足の裏の強いかゆみ(胆汁うっ滞の可能性)
- 38℃以上の発熱
今週の検査
妊娠28週は検査の節目となる週です。この時期の妊婦健診で行われることが多い内容:
- 75gOGTT(妊娠糖尿病スクリーニング):妊娠24〜28週が標準的な実施時期です(日本産科婦人科学会ガイドライン)。
- 血液検査(CBC):妊娠後期によくある貧血の確認。
- Rh型スクリーニング:Rh陰性の方には抗D免疫グロブリン投与が行われます。
- Tdap(百日咳・ジフテリア・破傷風)ワクチン:日本では妊娠中のTdap接種は現在任意接種ですが、新生児への百日咳感染予防の観点からWHO・ACOGが推奨しており、担当医に相談することをおすすめします。
- 健診の頻度:多くの産婦人科では妊娠28週頃から健診が2週間に1回になります。母子健康手帳に記録を忘れずに。
- 子宮底長:赤ちゃんの成長が順調かを確認するために計測されます。
なお、GBSスクリーニング(B群溶連菌検査)は妊娠35〜37週頃に行われます。NST(ノンストレステスト)はリスク妊娠や必要に応じて実施されます。
今週のヒント
- 胎動カウントを毎日始めましょう。赤ちゃんがよく動く時間帯を選んで記録するリズムを作ることが大切です。
- 左を下にして寝ましょう。膝の間とお腹の下にマタニティピローを入れると、赤ちゃんへの血流が最適になります。
- 産院の見学・施設確認をしましょう。入院病棟・LDR室(分娩室)・NICUの位置などを事前に把握しておくと安心です。
- 両親学級(両親教室)に申し込みましょう。4〜8週かけて行われることが多いため、今がちょうど良いタイミングです。地域の保健センターでも開催されています。
- 水分をしっかり摂りましょう。1日1.5〜2Lを目安に水分を摂ると、むくみ・便秘・前駆陣痛の軽減に役立ちます。
次への準備
残り12週間は思ったより早く過ぎます。プレッシャーをかけずに毎週少しずつ準備を進めましょう。
- かかりつけ小児科の候補を調べ始める(産前に一度受診できる小児科がおすすめ。日本小児科学会の「かかりつけ小児医」案内を参考に)
- バースプラン(希望する出産スタイル・立会いの人・胎盤処置・授乳方針など)を大まかにメモする
- チャイルドシートを早めに取り付け・点検する(消防署や育児支援センターで確認サービスを行っているところがあります)
- 新生児服・おくるみ・ガーゼタオルを洗濯して整理する
- 入院セットのリスト作りを始める(母子健康手帳・保険証・前開きパジャマ・産褥ショーツ・授乳ブラなど)
- 産前産後休業・育児休業の申請スケジュールを勤務先に確認する(産前6週間・産後8週間の産休、その後育休)
- 里帰り出産を予定している方は、里帰り先の産院の受け入れ時期・紹介状・移動のタイミングを担当医と相談する
妊娠28週のよくある質問
妊娠28週で息切れがするのは正常ですか?
はい、正常です。子宮が上に向かって大きくなり横隔膜を圧迫するため、肺の容量が少なくなります。また、プロゲステロンが呼吸数を増加させます。軽い動作や安静時でも少し息が上がる感覚は妊娠後期によくある症状です。ただし、突然の強い息苦しさ・胸の痛み・安静時の息切れに動悸が伴う場合は、子癇前症・貧血・肺の異常のサインの可能性があります。すぐに産婦人科に連絡してください。
妊娠28週、胎動はどのくらい感じるべきですか?
妊娠28週からは毎日安定した胎動を感じるようになります。多くの産婦人科医はこの時期から正式な胎動カウントを開始するよう勧めています。赤ちゃんが活発な時間帯(食後や夕方が多い)に左を下にして横になり、はっきりした動きを10回数えます。多くの場合、2時間以内に10回に達します。いつもより明らかに動きが少ないと感じたら、次の健診を待たず同日中に産婦人科に連絡してください。
妊娠糖尿病のスクリーニング検査はいつ受けますか?
妊娠糖尿病のスクリーニング(日本では75g経口ブドウ糖負荷試験=75gOGTT)は、日本産科婦人科学会のガイドラインに沿って妊娠24〜28週に行われます。空腹時にブドウ糖液75gを飲み、1時間後・2時間後に採血します。妊娠糖尿病は妊娠の約7〜9%に見られますが、早期発見で適切に管理できます。尿糖や空腹時血糖の異常などリスク因子がある場合は初診時にも検査されることがあります。
妊娠28週でかゆみがひどいのですが?
お腹の皮膚が伸びることによる軽いかゆみはよくある症状です。無香料の保湿クリームやぬるめのお風呂(おふろ)で対処できることが多いです。ただし、手のひらや足の裏の強いかゆみが発疹を伴わず現れる場合は、妊娠性肝内胆汁うっ滞(ICP)の可能性があります。ICPは赤ちゃんに影響する可能性がある状態であり、速やかな検査が必要です。手のひら・足の裏の強いかゆみは必ず担当医に報告してください。
妊娠28週の赤ちゃんは見えますか?聞こえますか?
どちらも「はい」です。妊娠28週には赤ちゃんの目が開くようになり、瞬きをしたり、お腹の壁を透過してくる光を感じたりできます。聴覚系も機能しており、お母さんの声・心臓の音・おふろ(入浴中)の水音など、繰り返し聞いてきた音を認識しています。研究では、胎内で繰り返し聞いた音楽や声に生後も反応することが確認されており、胎児期の「学習」が本当に起きていることがわかっています。
妊娠28週のむくみで心配すべきタイミングは?
1日の終わりや暑い季節に足首・足の甲がむくむのは、血液量の増加や骨盤内静脈の圧迫によるものでほぼ正常です。ただし、顔・目の周り・手の突然の強いむくみに頭痛・視力の変化・右上腹部痛が伴う場合は子癇前症のサインの可能性があります。速やかに産婦人科に連絡してください。急激な体重増加(1週間で1kg以上)も担当医への報告が必要です。
妊娠28週に運動しても大丈夫ですか?
合併症のない妊娠では、妊娠全期間を通じて週150分以上の中程度の運動が推奨されています(日本産科婦人科学会・WHO)。妊娠28週では低負荷の運動が特に適しています。ウォーキング、マタニティスイミング(水の浮力で関節への負担が少ない)、マタニティヨガ、固定式バイクが良い選択です。コンタクトスポーツ、転倒リスクの高い活動、スキューバダイビング、長時間の仰向け姿勢は避けてください。収縮・めまい・出血・液体漏れが起きたらすぐに運動を止め産婦人科に連絡してください。
なぜ妊娠28週で胸やけがひどくなるのですか?
プロゲステロンが胃と食道の弁(下部食道括約筋)を緩め、大きくなった子宮が胃を上に圧迫するため、妊娠後期に胸やけが悪化します。食事を少量に分けて何度も摂る、辛いもの・脂っこいものを控える、食後1〜2時間は横にならない、寝るときは頭を少し高くするなどが助けになります。制酸薬については担当医に相談してから使用してください。
Rh陰性の場合、Rh免疫グロブリン(抗D免疫グロブリン)の注射は必要ですか?
はい。Rh陰性血液型で赤ちゃんの父親がRh陽性またはRh不明の場合、担当医は妊娠28週頃に抗D免疫グロブリンの投与を行います。これにより、お母さんの免疫系がRh陽性の赤ちゃんの赤血球に対する抗体を作るのを防ぎ、今回および将来の妊娠での溶血性疾患を予防します。出産後に赤ちゃんがRh陽性と確認された場合は、72時間以内に2回目の投与が行われます。
妊娠28週から何を準備し始めればよいですか?
妊娠28週は具体的な準備を少しずつ始める良いタイミングです。産院見学・両親学級への申し込み・小児科のかかりつけ医探し(日本小児科学会が推奨する「かかりつけ小児医」制度を活用)・バースプランのメモ書き・チャイルドシートの設置確認・入院セットのリスト作りなどを始めましょう。また、産前産後休業(産前6週・産後8週)と育児休業の申請手続きを勤務先の担当部署と確認しておくのもこの時期に行うとよいでしょう。
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