子育てのヒント

ポジティブ・ペアレンティング:完全ガイド

ポジティブ・ペアレンティングとは何か、寛容な子育てとどう違うのか?核となる原則、証拠に基づく戦略、そして長期的に機能する理由。

監修: Whispie 編集チーム エビデンスに基づく育児リサーチ

公開日:

この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。

出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本小児科学会をご確認ください。

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脳のなかで起きていること

子どもを怒鳴りつけると、脳は闘争か逃走かの態勢に入ります。取り組んでいるのは生き延びることであって、学ぶことではありません。考えるはたらきを担う前頭前皮質は停止します。その状態にある子どもは、自分の行動についての教えを受け取れません。危機のただ中にいるからです。罰は恐れを生み、まずいことを理解するのではなく、隠すことを教えます。

ポジティブな線引きは、別のはたらき方をします。親が落ち着いたままつながりを保つと、子どもの神経系も整ったままでいられます。考え、聞き、学ぶことができます。目的が移ります。恐れによって従わせることから、感情を立て直し、問題を解き、よい選択をする力を育てることへ。発達心理学の研究は、このように育った子どもが、より強い実行機能、より豊かな感情の理解、そしてより健やかな関係を育てることを示しています。

ポジティブな子育ては、結果や境界がないという意味ではありません。むしろ逆で、境界は欠かせません。ただしそれは、恥や仲間はずれではなく、つながりと理解を通じて伝えられます。

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罰によらない導き方 ── 具体的に

区別が大切です。導くことは教え、罰は傷つけます。実際にどう行うか、ここで見ていきましょう。

自然な結果

上着を嫌がった子どもが寒い思いをすれば、気温に備えることを学びます。おもちゃをなくせば、失うことを経験します。こうした結果は、現実そのものに組み込まれています。あなたの役目は、安全を守り、結果が起きるにまかせ、そばで支えること。「寒いね。今度はどうする?」── 恥をかかせずに教えるやり方です。

正す前に、つながる

行動を扱う前に、子どもとつながってください。肩にそっと手を置く、目を合わせる、気持ちを受け止める ──「動揺しているんだね」。そうすることで神経系が整ったままになり、学べる状態が保たれます。そのうえで、「妹をたたくのは、させられない。痛いから。代わりに何ができるかな」。

解決を探す対話

感情がおさまってから、起きたことを話します。「何があったの? どんな気持ちだった? 今度はどうしてみる?」── これが力を育てます。五分の解決の対話は、一時間のタイムアウトよりはるかに多くを教えます。

代わりの行動を教える

してはいけないことだけを言うのはやめましょう。何をすればいいかを教えてください。「たたかないで」ではなく、「腹が立ったら、深く息を吸って、クッションをぎゅっとするか、大人に言いにきて」。それを落ち着いて、何十回も繰り返します。時間とともに、新しい行動のほうが先に出てくるようになります。

追い詰められたときに落ち着きを保つ

ポジティブな子育てでいちばん難しいのは、理解することではありません。疲れきって、いらだって、限界にいるときに実行することです。子どもを整える前に、自分の神経系が整っている必要があります。

必要になる前に蓄えをつくる:睡眠、体を動かすこと、大人との関わり、ささやかな静けさの時間が、あなたの許容量を補充します。空っぽで走っている親が、癇癪の最中の幼児に忍耐を保つことはできません。これは弱さではなく、生理です。

自分の引き金に備える:あなたが切れてしまうのは何ですか。ぐずり? 反抗? 散らかり? 引き金が上がってくるのを感じたら、その場を離れてください。「少し時間がほしい。深呼吸を三回してくる」。教えようとしている自己調整を、そのまま実演していることになります。

切れてしまったあとは修復する:あなたは時に怒鳴ります。忍耐を失います。それを修復してください。「怒鳴ってしまってごめんね。あなたはそんな扱いを受けるいわれがなかった。私は行き詰まっていたけれど、私たちはそういうふうに接し合わない。落ち着いていられるように取り組んでいるところ」。これは、完璧さが決してなしえないほど強く、責任の取り方と立ち直る力を教えます。

年齢ごとに効くこと

1歳半〜3歳:衝動を抑える力はほぼゼロです。崩れることを見込んでおいてください。ルールは少なく、単純に。説明よりも、気をそらすことと向きを変えることのほうがよく効きます。境界には共感を添えて ──「あのおもちゃがほしいんだね。待つのはつらいよね。代わりにこれならできるよ」。

3〜5歳:ことばと、原因と結果のつながりが育ってきます。ここからは説明の比重が増します。選択肢を渡してください。「そろそろ公園を出る時間だよ。車まで歩く? それともけんけんで行く?」── 境界の内側で自律が育ちます。

6〜11歳:ルールとその理由を理解できます。自然な結果にもっと働かせてください。宿題を忘れたなら、学校がそれに応じるのであって、あなたが尻ぬぐいをするのではありません。解決を探す対話がとても効いてきます。

思春期:必要なのは敬意と自律です。管理しようとすれば反発が生まれます。境界は引きつつ、解決を一緒に考える側に引き入れてください。「このやり方は、うちの家族には合っていない。どう変えられるか一緒に考えよう」。

要点

よくある質問

「導く」ことと「罰する」ことは、何が違うのですか?

「導く」という語は、もともと「教える」という意味の言葉に由来します。一方「罰する」ことは、過ちに対して痛みや代償を課すことです。導くことは、子どもが結果を理解し、よりよい選択をする助けになることに重心を置きます。罰することは、過ちの代償として子どもを苦しませることに重心を置きます。導くことは力を育て、罰することは恐れを教えます。研究によれば、導かれて育った子どもは、より高い自己統制力、感情の調整力、問題解決力を身につけます。罰されるだけの子どもは、なぜその行動がまずいのかを理解するのではなく、見つからないようにすることを学んでしまいます。

ポジティブ・ペアレンティングの核となる原則は何ですか?

核となる原則には次のものがあります。無条件の愛情(子どもという存在と、その行動を切り離して見ること)、はっきりした期待(何を求められているかを子どもが分かっていること)、一貫性(ルールはいつも同じように適用されること)、自然な結果(選択の結果を子ども自身に経験させること)、気持ちの承認(行動の向きを変えるときでも、感情そのものは認めること)、そして手本(子どもは見ているものをまねること)です。ポジティブ・ペアレンティングは寛容主義ではありません。境界ははっきりしていますが、恥をかかせるのではなく、教えることを通じて伝えられます。

怒鳴らずに、効果的に境界線を引くにはどうすればいいですか?

効果的な境界線の引き方には、次のような要素があります。子どもの目の高さまでかがむこと、落ち着いた声で話すこと、求めていることを具体的に伝えること(「いい子にして」ではなく「テーブルではおとなしく座ってね」)、可能なときは選択肢を渡すこと(「私の手を握るか、カートに座るか、どちらか選んでね」)、そして落ち着いた結果までやり抜くことです。怒鳴ることは、自分を制御しきれていないことのしるしであり、声の大きさが力だと子どもに教えてしまいます。子どもは怒りよりも、落ち着いた毅然とした態度に、よく応えます。もし自分がヒートアップしそうなら、まず自分が一息ついてください。教えようとしている自己調整を、自分自身で実演することになります。

自然な結果とは何ですか。どう使えばいいですか?

自然な結果とは、選択から自動的に生まれる結末のことです。熱いコンロに触れれば火傷をします(実際に触れさせはしませんが、この考え方は理解してください)。お昼を食べなければ、おやつの時間にお腹が空きます。おもちゃをなくせば、それで遊べなくなります。安全に関わる行動については結果を防ぎますが、学びの機会になる場面では、そばで支えながら結果が起きるにまかせます。たとえば、上着を着るのを嫌がった子どもが寒い思いをすれば、気温にそなえて計画することの大切さを学びます。論理的結果は、あなたが行動に結びつけてつくり出すものです。ジュースをこぼしたら、自分でふき取る、というように。

折れることなく、怒ることもなく、かんしゃくにどう向き合えばいいですか?

かんしゃくは発達の一部です。幼児には、大きな感情を言葉にするだけの語彙がまだありません。あなたの目標は、落ち着いていること(あなたの落ち着きは伝染します)、子どもの安全を守ること、そして境界を保ちながら気持ちを認めることです。子どもの目の高さまでかがみ、「公園を出るのが嫌だったんだね。つらいよね」と伝えつつ、境界そのものについては交渉しません。落ち着いたら、気持ちについて話し、次はもっとうまく表現する練習ができます。要求に折れることは避けてください(かんしゃくが効くと教えてしまいます)が、感情そのものは認めてください。触れられて安心する子どももいれば、距離を必要とする子どももいます。自分の子どもの傾向を知り、それに合わせて対応してください。

タイムアウトは効果がありますか。もっとよい方法はありますか?

従来型のタイムアウト(罰としての孤立)は、恥や断絶の感覚を強めてしまうことがあります。研究が支持しているのは「タイムイン」、つまり、感情を立て直している間も子どものそばにいて支えることです。タイムアウトも、「落ち着く時間」や「考える時間」として、子どもが安全な場所へ退いて自分を取り戻すための時間と位置づけ、あなたがそばにいて応じられる状態であれば、効果を持ちえます。目的は孤立させることではなく、自分を整える力を育てる手助けをすることです。タイムアウトを使うなら、短く(年齢一歳につき一分ほどで十分です)、その後は必ずつながりの時間を持ち、罰ではなく教えるために用いてください。多くの家庭にとっては、自然な結果と、解決を探す対話のほうが効果的です。

ガミガミ言わずに責任感を教えるにはどうすればいいですか?

責任感を教えるには、次のようなことが役立ちます。はっきりした毎日の決まり(寝る前の流れ、朝の流れ)から始めること、口うるさく言う代わりに視覚的な手がかり(絵やチェックリスト)を使うこと、自然な結果を組み込むこと(「ランドセルに入れておかないと、取りに戻ることになるよ」)、そして結果だけでなく、努力そのものを認めること。「次に何をする必要があるかな?」と尋ね、指示するのではなく子ども自身に主導権を渡してください。期待は年齢に合わせてください。幼児はおもちゃを箱に入れられます。未就学児は簡単な家事を手伝えます。学齢期の子どもは、視覚的な支えがあれば自分の生活の流れを管理できます。責任感は、完璧さからではなく、練習と失敗を重ねる中で育っていきます。

子どもがたたいたり、かんだり、攻撃的にふるまったりしたら、どうすればいいですか?

まず安全です。けがを防ぎ、落ち着いてその場から子どもを離してください。それから行動に向き合います。「たたくのは、させられない。たたくと痛いから」。感じていたであろうことに名前をつけてあげてください。「おもちゃを取られて、腹が立ったんだね」。代わりの行動を教えてください。「怒ったときは、深く息を吸うか、大人に伝えるか、クッションをぎゅっとすることができるよ」。四歳未満の子どもは、まだ衝動を抑える力を育てている途中で、身につくまでには何度も繰り返しが必要です。強さよりも一貫性のほうが大切です。求めていることを自分で見せてください。いらだったときに、怒鳴らず、息をすること。攻撃的な行動が増えたり、けがにつながったりする場合は、圧倒されている状態か、専門的な支えが必要なサインかもしれません。

口答えや反抗的な態度に、力ずくの対立にならずに向き合うにはどうすればいいですか?

口答えは、とくに自立を模索し始めた大きな子どもや十代の子どもにとって、ふつうのことです。個人攻撃として受け止めないことで、力比べを避けてください。行動と子どもを切り離してください。「あなたが動揺しているのは分かる。でも、そんな話し方は、うちではしない」。境界を伝えたら、そこで区切ってください。「あなたが怒鳴っている間は、この話はしない。落ち着いたら話そう」。すぐに謝罪を求めないでください。気持ちを立て直す時間が必要です。あとで、つながりと問題解決を持って接してください。力比べが頻繁に起きるなら、子どもに意思決定への関わりがあるかを見直してください。自律性が口答えを減らします。大きな子どもには、育ちつつある自立への敬意が必要で、ルールだけでは足りません。

自分が間違えたとき、どうやってよい手本を示せばいいですか?

手本は強い力を持ちます。忍耐を失ったとき、怒鳴ってしまったとき、間違えたときには、心から謝ってください。「さっき怒鳴ってしまった。あれはよくなかった。私はいらだっていたけれど、あなたはそんな扱いを受けるいわれがなかった。ごめんね」。これは、間違いは取り返しがつくこと、そして責任を取ることが大切だと子どもに教えます。問題解決の手本を見せてください。「牛乳を買い忘れて、いらだってしまった。次はリストを作るね」。感情の調整の手本を見せてください。動揺したら、息をする、外に出る、「少し時間がほしい」と言う。子どもは見ているものから学びます。親は完璧である必要はありません。修復すること、成長すること、敬意を払うことの手本を見せればいいのです。これは、決して苦労を見せないふりをするよりも、はるかに強く立ち直る力を育てます。

子どもの気質が違う場合、これらの戦略はすべての子どもに通用しますか?

気質は非常に大きく影響します。頑固な子どもには、繊細な子どもとは違うアプローチが必要かもしれません。話し合いながら問題を解くのが向いている子どももいれば、まず静かな時間を必要とする子どももいます。つながりに動機づけられる子どももいれば、自律性に動機づけられる子どももいます。核となる原則(はっきりした境界、自然な結果、感情の承認)は変わりませんが、伝え方は変わります。意志の強い子どもや活発な気質の子どもは、より多くの自律性と、事前の見通しをしばしば必要とします。繊細な子どもは、行動の向きを変えられても、まだ愛されていると安心させてもらう必要があります。動きの速い子どもには体を動かす休憩が、慎重な子どもには移行に余分な時間が必要かもしれません。自分の子どもがどんなことで引き金が引かれるか、どんなタイミングを好むか、何に動機づけられるかを観察してください。子育てに唯一の正解はありません。子どもの気質にアプローチを合わせることで、効果は大きく高まります。

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